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2013年3月21日 (木)

第三者委員会報告書といじめ防止条例

滋賀自治体問題研究所の「しがの住民と自治」誌に投稿した
 大津市立中学校におけるいじめに関する第三者調査委員会報告書(平成25年1月31日)と「大津市こどものいじめの防止に関する条例」を、「しがの住民と自治」誌が読者に届いているのでここにも投稿します。(このときの肩書きは研究所常任理事、前大津市議会議員です)
 
 1月31日「大津市立中学校におけるいじめに関する第三者委員会」は、3部構成・225ページにわたる報告書を市に提出しました。
  「 関係資料は、教員たちの生徒指導上のメモ、本件に関し生徒から聴き取った際のメモ、学校及び市教育委員会の事件後の動きを示す書類など多様であった。・・・・大阪弁護士会所属の弁護士3名を調査員として選任し,書類の整理と学校,市教育委員会関係の事後対応の事実関係の整理を依頼した。さらに本報告書完成にあたって、文体の統一、資料引用の正確性のチェック、事実の見逃し...等の困難作業について歴史的観点から教育学を研究する調査員のサポートを得た。」と、事件の重要性に鑑み、正確さを保証するために相当の努力が行われたことがうかがえます。以下、報告書のポイントについて触れながら、4月1日から施行されることになった「大津市こどものいじめの防止に関する条例」の問題点について報告します。

1.いじめの原因、教員および校長の認識について
 第一部第一章2節 Aに対する行為について(報告書11ページから26ページ)
 1 9月上旬
 2 9月中旬
 3 文化祭(9月28日開催)前
 4 文化祭当日(9月28日)
 5 体育祭当日(9月29日)
 6 9月下旬(文化祭・体育祭の前後も含めて)~10月上旬
 7 10月 3日、10月4日
 8 10月 3日から10月5日頃
 9 10月 5日
 10 10月 6日
 11 10月 6日から10月 7日の中間試験の時
 12 10月 7日
 13 10月 8日
 14 10月 9日
 15 10月10日
 16 10月11日
 と時系列的に、自死した生徒に対する2人の同級生の行為・事象を具体的、詳細の検討して2人の同級生の行為をいじめと認め、教育委員会や市が生徒の家庭における諸問題も自死の一因と主張していたことを否定して、いじめが自死の原因であるとしています。
 同時に、担任について、「仮に、担任がいじめを認識していなかったとしても、担任として自死した生徒に対する同級生2人の行為が、いじめであったと認識できる状況にあったということができる」と指摘しています。
 また、2学年の担当教員について、「当時2年生の担任をしている教員やその他の教員も自死した生徒が同級生2人の内1人から一方的は状況で暴行を受けていることを見ており、学年主任に報告している教員もいる。」等々の事実を明らかにして「少なくとも10月5日(自死6日前)の時点でいじめがあったのではないかという認識が教員間にあったといえる」と指摘しています。
 さらに、校長について、「10月5日の時点で校長が、少なくとも、いじめの可能性がゼロではないという認識を有していたといえる。」として、学校がいじめの防止と自死を止められなかったことを指摘しています。

2.学校および市教育委員会の対応
 第二部では、Aの自死が起こった後の学校及び市教育委員会の対応についても事実を確定した後、事後対応の問題点を12項目にまとめて指摘しています。
①教員によるいじめ認知の遅れ、②実現しなかった教員間の情報共有化。③チームワーク(教員間の風通しの悪さ)の不足。④生かせなかった副担任制度。⑤学級運営上の問題。⑥いじめ対応と学校・教員の評価。⑦いじめ防止教育の限界。⑧校長等の管理職の役割。⑨大規模校の孕む問題。⑩実現しなかった教員と保護者の情報共有。⑪教員の多忙化。⑫講師身分の固定化。

3.提言
 第三部は提言となっており、今回の事案を通して浮き彫りになった問題点を解決し、二度と同じ過ちを起こさないため、青少年の健全育成の観点も踏まえ、第1章「教員への提言」、第2章「学校への提言」、第3章「教育委員会への提言」、第4章「スクールカウンセラーへの提言」、第5章「危機対応」、第6章「将来に向けての課題」の6項目について提言されています。
 とりわけ、将来に向けての課題(第6章)として、
 1 学校内外に生徒がシグナルを発しやすい法制度の構築
                 =二重三重の救済システムの整備に向けて
 (1)教員以外の専門スタッフの必要性
     学校からの独立性とともに調査に関する権限の付与
 (2)弁護士の活用(スクールロイヤーの制度化) 
     例として、いじめ被害者のサポート。いじめた生徒といじめられた生徒との関    係調整。いじめ被害者が人間関係に対する信頼を取り戻せるようなサポートも考    えられる
 (3)オンブズマン等の第三者機関
          従来の司法的対応と並行して、関係修復的努力を継続的に行うことで当事者の    救済に結びつく
 「2 いじめと司法。 3 事後の事実解明=第三者委員会の在り方。 4 メディアの倫理の在り方=いじめとマスコミ。」と続いています。
 このように、第三者委員会は、いじめの防止と発生した、いじめに対して具体的な課題を提言しています。

4.提言が生かされていない「いじめの防止に関する条例」
 しかし、大津市議会は第三者委員会の報告とは関わりなく、2月19日、大津市議会2月定例議会の冒頭に、議会提案の「大津市こどものいじめの防止に関する条例」を日本共産党大津市会議員団を除く賛成多数で可決、成立させました。
 議会は、2011年10月に起きた、中学2年生の自死事件が、損害賠償訴訟で社会的問題になって、慌てて「いじめ防止条例」制定に動きました。このことは、パブコメに付された条例案前文の2分の1など随所で岐阜県可児市のものと酷似しているなどコピーアンドペーストで条例案が作成されていることにその状況が伺えます。条例制定までの経過は、2012年7月20日政策検討会議を設置し、9月4日まで(仮称)大津市子どものいじめの防止に関する条例の制定に向けて議論を重ね、2012年12月議会に提案、成立の予定でパブリックコメントの募集が行われました。ところが、パブリックコメント124通の内90%以上が、パブコメに付された条例案に反対や批判的なものであったため、さすがの議会も12月議会提案を断念し、条例案の見直しを迫られました。
 前述のとおり、第三者委員会が「将来に向けての課題」を明確にしていますが、議会提案先にありきのため、第三者委員会の成果が条例には全く生かされていません。
 日本共産党大津市会議員団は、2011年9月20日議会各派に、条例制定について「現在、第三者調査委員会、大津市いじめ対策検討委員会を設置したばかりで、これから調査、議論がおこなわれる。このような段階で条例で結論づけて、学校、教育委員会をしばってしまうことは、いじめ防止の有効な方法にふさわしくない」と申し入れを行い、同時に本件に対する議会の意志・メッセージ「(仮称)大津市子どもの命を大切にする宣言(案)」の提案も行いました。
   他会派は、前述したように、議会が条例制定能力のあることを示したいという「実より名」を優先し、日本共産党大津市会議員団の提案はまともに議論されませんでした。
 第三者委員会の成果が生かされないまま、何はともあれ「大津市子どものいじめの防止に関する条例」は成立し、4月1日施行予定となっています。
 条例の附則2(検討)は、「市長は、この条例の施行後2年を目処として、この条例の運用実績を検証し、及び子どもを取り巻く環境の変化等を勘案し、この条例の規定について検討し、その結果に基づいて条例の改正その他必要な措置をこうずるものとする。」としています。
 市長に、「条例の改正その他必要な措置を」求めていますが、条例第18条では、大津の子どもをいじめから守る委員会は、活動状況を市長に報告するものとし(第1項)、市長はその内容を議会に報告し、公表を義務づけ(第2項)、議会は必要があると認めたときは、市長に対して委員会の活動状況について報告を求めることができる(第3項)としていることから「条例の改正その他必要な措置を」、条例提案者である議会としても、責めを負うことが必要ではないでしょうか。
 また、2年後といわず、第三者委員会の調査報告書で事実解明がなされ、「将来に向けての課題」も提起されていることから、議会はメンツにこだわることなく、条例が実効性を発揮できるよう改める勇気を発揮すべきではないかと思います。

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